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2025.2.32025.2.3
企業の電気料金見直しで知っておくべき「容量拠出金」とは?

企業の電気料金見直しで知っておくべき「容量拠出金」とは?

高圧電力の電気料金見直しには、電気料金の構成を知ることも肝心です。電気料金には基本料金+電力単価×使用量に加え、再エネ賦課金や燃料調整費などがあり、2024年4月から新たに「容量拠出金」が加わりました。今回は容量拠出金についてお伝えします。

  • 容量拠出金とは?
  • 容量市場とその仕組みとは?
  • 容量市場が必要になった背景って?
  • 2024年の電気料金上昇の原因は容量拠出金?
  • 2025年電気料金の値上がりと「容量拠出金」の影響
  • 料金プランを見直すなら「容量拠出金」も念頭に!
  • 政府の補助金が打ち切られる4月以降は再確認を
  • まとめ

容量拠出金とは?

容量拠出金とは、国内電力の供給力を確保するために、発電所を持たない小売電気事業者などに課された費用のことをいいます。

一般的に小売電気事業者や一般送配電時事業者、配電事業者は自社で電力を生み出すことができません。そのため他の発電事業者や卸電力市場から電力を買い、各消費者へ売っています。

発電所の保持・運営には多額の費用がかかるので、発電事業者ばかりに負担がかかると、発電所の操業ができない事業者が出る可能性があります。

そうならないためにも、発電事業者から電力を購入している事業者は、その対価として「容量拠出金」を支払うように定められ、2024年4月から実施されています。

容量市場とその仕組みとは?

容量市場は「発電事業者の維持費用を確保するための市場」です。また将来の電力供給能力を取引する市場であり、中長期に渡って効率的かつ安定的な電力供給力を確保していくシステムといえます。

具体的には、市場管理者である「電力広域的運営推進機関」が4年後に国全体で必要となる電力供給力 を示し、発電所などを有する発電事業者がオークションに参加する方式で取引が行われます。あくまでも4年後の供給力(kwh)で、実際の電力量は関係ありません。

その狙いは、需要が最大になったときでも十分に賄えるような容量をあらかじめ確保しておくことで、発電量が需要に追いつかずに停電したり、調達する電力が足りずに卸電力価格が高騰するなどの事態が起きにくくなるという利点があります。

容量市場が必要になった背景って?

第一には2016年に行われた電力自由化があります。電力の自由化で大手電力会社による独占が解消し、新電力会社の新規参入で市場が活性化したこと。その代わりに発電事業者のインフラ維持費用の回収リスクが顕在化したことが挙げられます。

第二には再エネ利用の増加があります。再生可能エネルギーだけではそもそも発電量が足らず、足りない電力を確保するために火力発電などで補いますが、発電所設備の建設や維持などのコストに加え、再生可能エネルギーの発電量の増加や電気事業者間の競争に伴う売電価格の低下で、設備投資の回収が見込まれなくなってきているのです。

そうなると新たな発電所への投資は生まれにくく、既存の発電所の閉鎖があれば、たちまち需給が逼迫し、最悪の場合、停電する恐れがあります。こうした課題を解決し、安定した電力供給および各発電所の建設・維持コストを確保するために容量市場が導入されることになりました。

2024年の電気料金上昇の原因は容量拠出金?

容量拠出金は2024年4月から、小売電気事業者である各電力会社に支払いが義務付けられました。発電事業に必要なコストを、非発電事業者で拠出(負担)するのが容量拠出金制度で、安定した電力供給には欠かせない仕組みです。反面、発電施設を持たない小売電気事業者にとっては負担ともいえます。

容量市場を管理する「電力広域的運営推進機関」によると、2024年度の容量拠出金の総額は約1兆6千億円にも上ります。一事業者だけで支払える金額ではないため、当然、各電力会社で頭割りとなりますが、電力供給が多い電力会社ほど負担額は増えるので、その分、自社で賄えない分を電力使用料金に転嫁せざるを得ないのです。

容量拠出金の電気料金への転嫁額は各電力会社によって異なりますが、2024年に電気料金が値上がりした背景には、この容量拠出金の負担分も影響していたといえるでしょう。

2025年電気料金の値上がりと「容量拠出金」の影響

容量市場では4年後に供給可能な電力容量をオークション方式で取引しますが、最初のオークションは2020年の4月にすでに行われていました。実際の取引は2024年4月から始まりましたが、2024年はオークションの約定価格が1万4000円台(/kw)と高額だったこともあり、ほとんどの電力会社が容量拠出金の負担額分を電気料金に転嫁せざるをえなかったといえます。

2025年はどうかというと、2025年分の約定価格は3,500円〜5,000円(/kW)程度ということもあり、そこまで急激な値上げは起こらないかもしれません。ただし、容量市場で発電事業者に支払われる対価は、小売電気事業者らが負担する容量拠出金が「原資」になることから電力会社によっては、この容量拠出金の負担義務を理由に料金メニューの見直し(実質的な値上げ)を敢行するケースも実際に出てきています。

このように容量拠出金の負担を電気料金に上乗せすることで、コストを回収する仕組みを取る以上は、今後も電気料金の値上げは避けられないでしょう。

料金プランを見直すなら「容量拠出金」も念頭に!

容量拠出金の電気料金への転嫁額は「各電力会社によって違う」と前述しました。だからこそ「そこ」にも注目して料金プランの見直しをすることが大切なんです!

実は固定額に見える「容量拠出金」ですが、電力会社によって金額に「幅」があるのが事実です。2024年4月から電力会社の容量拠出金の支払い義務が始まったことを理由に、実際に電気料金の値上げをした電力会社もありますし、企業努力によってユーザーから徴収する金額を抑えた電力会社もあったようです。しかし今後も容量拠出金を理由に電気料金の値上げを検討する電力会社は増えてくると思われます。

企業で電気料金プランを見直す際には、現在契約している請求書と新しい電力会社からの見積りを見比べて、「容量拠出金の負担額」をチェックしてみてください。

一般的なプランの電気料金 表


政府の補助金が打ち切られる4月以降は再確認を

2024年11月22日の閣議決定に基づき、2025年1月〜3月まで電気料金・ガス料金の補助金事業(令和6年度 電気・ガス料金負担軽減支援事業)を再開することが決まりました。これにより2025年1月使用分から3月使用分までの電気料金は去年より値下がりするでしょう。適用される値引き額は以下の通りです。

電気料金値引き単価 図解

出典:資源エネルギー庁「電気・ガス支援料金」を参考に弊社で作成


しかし注意が必要なのは、補助金が終了する2025年4月使用分以降です。補助金が打ち切られると「電気料金、上がった?」と感じるのは当然ですし、4月からは新年度ということで「再エネ賦課金」の新しい単価が適用される月でもあります。

再エネ賦課金は近年では2023年に大幅に引き下げられ、2024年は2022年度と同等にまで引き上げられています。2024年度の市場価格に変動が見られなかったため、2025年は上がるのではないかともいわれています。

新年度を迎え、電気料金プランの更新をする前に、一度今の契約の見直しをしておくことをおすすめします。

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まとめ

この記事では、2024年4月から導入された「容量拠出金」について、実際に企業が電気料金プランの見直しをする際、どのようなことに注意すればいいかをお伝えしました。固定費だからこれ以上、見直しようがないと思いがちな「容量拠出金」ですが、電力会社と電気料金プランの乗り換えで、それまでよりもっとオトクに電気料金を納めることができるのです。もうこれ以上見直す部分はないだろうとあきらめる前に「まだまだ見直せるところがあった!」ということをわかっていただけたことでしょう。










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